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自立支援を通して考える超高齢社会と地域のカタチ

2017-12-08

昨日は在宅医療カレッジに参加してきました。

今回は特別企画ということで、医療法人社団悠翔会と在宅医療カレッジ運営報告があり、その後、自立支援を通して考える超高齢社会と地域のカタチというテーマでラウンドテーブルディスカッションがありました。

 

まずは自立支援ってなんだ?という所です。

医療者の視点だと、心身機能を含めたADLの自立という所に視点がいくと思います。

つまり、朝、目が覚めたら起き上がって、トイレに行って、シャワー浴びて、着替えて、ご飯食べて、外出してという日常の生活を独りで出来る事。自宅や病院、施設で、これらの動作を独りで出来ると自立とされます。

 

果たしてこれが自立支援というのだろうか?そこに本人の意思や決定はあるのでしょうか?というのが昨日のテーマでした。

ADLの改善は誰も否定しないと思いますが、そこに本人の想いが蔑ろにされていないかという事が大きな論点だったと思います。

 

そもそも、何で自立支援というテーマなのかというと、安部首相が去年の11月10日に行われた未来投資会議で『2025年問題』に間に合うように『予防・健康管理』と『自立支援』に軸足を置いた新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させていきます。と発言した事がきっかけです。自立支援を進めていく事で要介護認定を下げていき、社会保障費を減らすという意図も含まれています。昨日も議論になっていましたが、要介護認定を下げると、利用者や家族からはかなりの不満が出ます。これは僕自身も日々経験している事で、違和感を感じる所です。利用者や家族はお金が貰える感覚でいるのですが、実際は自分たちや近所の方達の金がそこに使われている。認定が下がれば下がる程みんなにとってはHappyという感覚になれたら良いですよね。勿論、サービスが必要な人は必要なだけ使ってもらいたいという事を大前提として。

 

自立支援のキーワードは対話と時間。自己決定をする上で対話は必要だが、実際に現場に行くと対話が出来ない事もある。

大切なのは時間ではないか。2年で出来るプロジェクトを10年でやる。彼ら自身が学び、間違え、お金使っちゃって反省しちょっとずつよろよろするためのプロセスが必要。環境問題も時間の問題。人間の開発が自然の治癒能力をこえているから問題になる。少しずつの自然破壊であれば、自然がなおしてくれる。山崎亮さんが仰っていたこれらの内容がとても印象に残っています。

先日のソーシャルヘルスケア経営塾でお話をした時、僕自身の課題を相談した時にも同じ事を伝えて下さいました。

 

自立支援には心身機能やADLは不可欠。

同じくらい必要なのが、自分が誰と生きて、どこで暮らして、どう生きて、どう死んでいくのかという事を本人が決める事。

どこまでそれを尊重するのか、忖度するのか。そのためには対話と時間が必要。

他職種連携を進めていく事も必要だが、市民自身が賢くなることで解決できることもあるのではないか。

佐々木先生が最後にこうまとめていました。

 

専門家があーだこーだと、地域住民の声を聞かずに動いたって何も変わらないと思っています。

歩く事や食べる事が大切ですよ!と伝えても、ハイそうですかと実践する人は限られています。これを1番分かっているのは医療介護福祉の専門職の方たちだと思います。分かっていながら日々その言葉を投げかけてしまっている。

山崎さんの言葉をお借りすると、大切なんだという事をいかに自分ごととして気付いてもらい、行動変容を起こすかが大切です。

 

僕らは医療介護福祉の専門職である前に、そこで暮らす1人の人です。

まずは、1人の地域住民として、地域の課題に目を向けることで、そこから対話が生まれる。

そして、医療介護福祉の専門職として、心身機能やADL、そしてその人の意思のバランスを見ながら、出て行くところは出て行く、見守るところは見守る。さらに、地域住民に医療介護福祉の知識をちょっとずつ時間を掛けて身につけてもらい、家族が自分が病気になった時に動けるように一緒に地域を作っていく。

 

そんな風に自立支援を進めていきたいですね。

 

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